つながった!



日曜日、詩人で絵本作家のアーサー・ビナードさんの講演会に行ってきました。
絵本「さがしています」を書く際に広島の人たちから聞いた「ピカ」「ピカドン」という言葉を例に、言葉の中に含まれる立ち位置のことなどをお話してくれました。
真面目な内容の中にユーモアがあり、「何となく」聞いていた言葉が意味を持って迫ってくる体験をしました。
「日本語を使い続けることが世界に対する責任である」ということを教えてもらった気がします。
本当に貴重な時間でした。

 * * *

8月のアタマ、和田誠さんの「銀座界隈ドキドキの日々」というエッセイを手に入れました。
すごい人にも新人時代があったのだなと勝手に親しみを感じながら、でもやっぱり伝説のような日々だなと憧れを抱きながら、一気に読みました。

その中で、画家ベン・シャーン氏とのエピソードが綴られていました。ベン・シャーン氏が「ラッキー・ドラゴン」の取材のために来日していた時、京都の旅館まで会いに行ったというものです。

私は、「ラッキー・ドラゴン」ってどんな絵だろうと思いました。

検索してみると「ここが家だ」という絵本になっているということがわかります。
「絵本ならば、持っていよう。いつか読み聞かせできるかもしれない」。
第五福竜丸に起こったことが心に刺さる絵と文章で表されている本「ここが家だ」は私の本棚の1冊になりました。
装丁とデザインは和田誠さん、文章を書いたのはアーサー・ビナードさんという人。

9月3日。
朝刊をチェックしていると「米出身の詩人ビナードさんが核兵器反対講演 あす県立図書館」という記事がありました。
ん?
どこかで聞いたことがある名前。
「あのアーサー・ビナードさんだ!」と気づいた時、情報の神様(?)に呼ばれた、と思いました。

こうして、私はアーサー・ビナードさんの講演会を聞きに行くことができた、というわけです。

『朱の記憶 亀倉雄策伝』


「サン・ジョルディの日」なので本の話題を。

デザイナーの岡本幸雄さんに「ぜひ読んだほうがいい」と
勧めていただいた『朱の記憶』。
グラフィックデザイナー亀倉雄策氏の伝記です。
最初のページから終わりまで揺さぶられっぱなしでした。

たとえば、戦後すぐ駅のホームで見つけた
進駐軍の将兵たちが食べ残した携帯食の空き箱のエピソード。

“抽象的なデザインが青いインクで施されている。美しい。野戦の塹壕でも、日の当たらぬ狭い潜水艦のなかでも、敵近くの駐屯地でも、食事のときくらいは、豊かな気持ちにさせようとする。(中略) 携帯食の箱にさえここまで神経を配る国と日本は戦っていたのか。それはひとつの衝撃だった。”

そして、亀倉氏は箱を持ち帰り奥様に伝えます。

“「ほら、このデザインを見てごらん。これが文明なんだ。デザインとは生きる喜びなんだ。オレはこのデザインを、これからきっと極めてみせるよ」”

このようにして先人が築いてくれた文脈の上に、
(末端乍ら)自分も立っていることにふるえます。
しっかりと地に足をつけて進むべきだと
改めて襟を正しました。

 * * *

写真の中のそのほかの本は、
『朱の記憶』の中にでてきた人物や出来事の関連書籍です。
少しずつ読み進めています。

評価:
馬場 マコト
日経BP社
¥ 1,944
(2015-12-19)


親鸞

お正月の休みを利用して五木寛之さんの

『親鸞(上)(下)』、『親鸞 激動編(上)(下)』を一気に読みました。


現在、徳島新聞に『親鸞 完結編』が連載されていて、
ずっと気になっていた作品です。

お勉強としての歴史が頗る苦手な私にとって、
ずっと教科書の中の二文字であった「親鸞」という人物を、
激動の時代を悩み生き抜いた一人の人間として感じられた
すばらしい読書体験でした。

実は、電子書籍で読んだ初めての小説(青空文庫以外で)。
読み進めたページも残りのページも厚みとして実感がないので、
結果として夢中でページを繰り、
いつの間にか読み終えていた感じです。
本の分厚さに尻込みしてしまう人には
電子書籍はいいのかもしれません。

2014年は、なるべくたくさんの本を読みたいと思います。

読んでしまった!


『もしドラ』です。

野球部の成長を早送りで見守らせてもらいました。

精神論を唱えるのではなく、
単にマニュアルをなぞっているのでもない
みなみちゃん流『マネジメント』の読み解き方。
ストーリーは淡々と進んでいるように見えるものの、
野球部員たちの中では劇的な変化が起こっています。

読む人の置かれている立場によって
響く言葉がそれぞれ違うと思いますが、
私の場合は
“第四章 みなみは専門家の通訳になろうとした”
がいちばん近くに感じられました。

監督(専門家)の知識や経験をうまく部員たちに伝えるための通訳。

これは、商品を広く世の中に出したいと思っているクライアントさん(専門家)の
商品そのものやそれにこめられた思いを
翻訳してアウトプット(デザイン)する私の役割と同じだ、と思ったわけです。
私って通訳だったのか、と自意識に訴えかけられました。

* * *

昔、戸田奈津子さんのような通訳になりたい!と言っていた友人がいました。
機械的に言語を変換するだけでなく、
気持ちや意味を充分に汲んだ上で訳すことに憧れるのだ、と。

* * *

私も、せっかくの通訳なのだから、
戸田奈津子さん型の出力ができればいいな、と思います。


みなさんは、どの部分に共鳴しましたか。
ぜひ、教えてくださいね。

『生きて行く私』

梶井基次郎氏が少しだけ登場している、という理由でずっと読みたかった宇野千代さんの自伝。今回の東京旅行のお供に選びました。

急に大金持ちになったり、突然借金に追われたりとジェットコースターのような人生であるにも関わらず、なぜか安心して読めます。波瀾万丈の部分をそぎ落とすように淡々と語っているわけではないのに不思議です。きっとそれは、千代さんがどんな状況でもそこに留まることなく、常に次の行動に移っているからなのでしょう。

千代さんの文章に表れているお人柄は本当に素敵です。まず、悪口や皮肉がありません。日本文化史上に残るすごい作家さんがたくさん登場しますが、いたって自然。びっくりするぐらいの恋愛遍歴も、ちょっとした自慢も何だかキュートな感じなのです。だって宇野千代さんだもの、と読みながら納得している私という読者。これって、すごいことです。

 * * *

ところで、本筋とは少しずれますが、谷崎潤一郎氏のことを書いた文章がありました。谷崎氏の駆け出しの頃の作品の青さにびっくりした時、「自分が書いたもの以外読まない」と言っていた氏の言葉を回顧して「この自作に対する大自信が、(中略)人の心を揺るがすような大傑作を書くことの出来た、その秘密ではないか」と綴っています。

自作への自信。

文学の巨匠の言葉から“芯がぶれないことが重要”ということを小さなクリエイターである私は学んだような気がしています。

 * * *

さて、ちょうど東京旅行2日間で読了。
約1世紀ぶんの人生が、ぎゅっと詰まったたおやかな1冊でした。
若い女の子にも読んでほしい、です。

JUGEMテーマ:読書
評価:
宇野 千代
角川書店
¥ 620
(1996-02)


たのしみは

まことに心がほっこりする“あるある!”でした。
橘曙覧(たちばな・あけみ)の『独楽吟(どくらくぎん)』読了。
オビには“正岡子規が「清貧の歌人」と評し、絶賛。”と書いてあります。
ナルホド、[清貧]という言葉が本当にぴったりあてはまる人です。

江戸時代末期の約60年を生きた作者の
“たのしみは”で始まり“〜時”で結ぶ52首。
日常のささやかな楽しみを歌に詠み込む視点に、
小さな幸せを感じる心は、今も昔も変わらないのだなぁと
とても嬉しく思いました。

私の好きな三首です。

“たのしみは まれに魚烹(に)て 児等(こら)皆が
 うましうましと いひて食ふ時”

“たのしみは 庭にうゑたる 春秋の
 花のさかりに あへる時時”

“たのしみは 百日ひねれど 成らぬ歌の
 ふとおもしろく 出できぬる時”


忙しかったり、疲れていたり、最近心が渇いているなぁと感じている人には、
ぜひオススメしたい一冊。

たのしみは、きっと近いところにありますよ。

JUGEMテーマ:読書
評価:
橘 曙覧
グラフ社
¥ 1,000
(2009-12-25)


ちちんぷいの・・・

JUGEMテーマ:育児


いろんな「こまったな」という時に効くおまじないを
「ちちんぷいの○○」というカタチで教えてくれる
ぐりとぐらの絵本。
手のひらサイズで、もうすぐ2歳のムスメの手にも馴染みます。

5歳のムスメと私のお気に入りは
「ちちんぷいの、かちゃ」。
物忘れをしないおまじないです。

あたまにカギを「かちゃ」とかけることで、
忘れないようにするというイメージが
かわいいだけでなくとてもわかりやすくて、
このおまじないを唱える時は必ずアタマの横でカギをかける動きをしています
(ムスメも私も)。

さっきも「あさって、保育園にうすいハンカチを持って行く」
ことを忘れないために、ふたりで唱えておきました。

効き目がありますように。

おはぎちゃん

やぎ たみこ
偕成社
¥ 1,260
(2009-10)

JUGEMテーマ:読書


先の東京旅の際『美篶堂』でたまたま開催されていた原画展を拝見し、
すっかりファンになってしまった「おはぎちゃん」。

秋のはじめ。
縁側でおじいちゃんとおばあちゃんが食べていたおはぎがひとつ、
ころころと庭にころげ落ちてしまいました。
それがおはぎちゃんです。
親代わりになったカナヘビ夫妻や、かえる、ダンゴムシ、クモ、とかげ。
あれ、並べてみると私がちょっと苦手とする生物ばかりなのですが、
素朴な植物とともにどれもかわいらしく生き生きと描かれています。
冬がきて、春がきて・・・
最後のページの素敵なきっかけが遊び心たっぷりで、
いとおしくなってしまうのです。

あ、ここにこんなものが描かれている!
と新しい発見も嬉しい絵本。
ムスメ(5歳)も何度も読み返しています。

『夜のピクニック』

恩田陸さんの『夜のピクニック』を読む。

伝統ある地方の高校の「歩行祭」が舞台。「歩行祭」は全校生徒が80km(!)という道のりを夜通し歩く・・・という行事である。高校生たちの小さな心の動きを目で追いながら、この“青春”のただ中にいる登場人物たちを心からうらやましく思っていた。

不思議だったのは、登場人物の全員が「80km歩くという行事に参加している」という点で平等だったこと。ものすごく勉強ができる、とか、部活に命をかけている、とかそういう高校生活において突出したものは特に描かれていないのである。この先ずうっと心の中に残るであろう特別な日「歩行祭」の中で、少しずつゴールに近づくのと同じように、少しずつ全容が明らかになってくるのだ。読後のさわやかな感じは得難いものがあり、プラスの元気を与えてもらった。

私が通っていた高校にも「FS(ファイヤー・ストーム)」という行事があった。9月初旬(ちょうど今ごろ)、学園祭が終わった夜に大きな3つの火の櫓のまわりを走り回って、寮歌を歌いまくる・・・という一大イベントである。当時は、一生懸命FSに参加することがカッコ悪いような空気があったけれど、3年間参加してみて、やっぱり3年目には「FSがあってよかった」と思えたものだ。淋しさに似た少しの希望を含む切ない感情は、炎ごしに見た満月の美しさとともに私の心の中にある。

何だか、高校の同級生と、高校時代の話をしたくなった。
あの時何を思っていたのか、毎日何が楽しかったのか、
小さな悩みは何だったのか。

思い出のかけらをくれた『夜のピクニック』。“ムスメたちにも読んでほしい本リスト”の中に加えたいと思う。

夜のピクニック (新潮文庫)
夜のピクニック (新潮文庫)
恩田 陸

クリボーを踏まずに

こんにちは おてがみです
こんにちは おてがみです
中川李枝子・山脇百合子, こいでやすこ, さとうわきこ, 加古里子, 富安陽子・降矢なな, カズコ・G・ストーン, 筒井頼子・林明子, 村山桂子・堀内誠一, 佐々木マキ, スズキコージ 他



『こんにちは おてがみです』という絵本をもらったムスメ(3歳)。

『ぐりとぐら』をはじめとする“こどものとも”の絵本の住人たちからお手紙が来るという設定のこの絵本、それぞれのページに封筒が貼り付けてあって、二つ折りになった便せんを取り出して読むことができるのである。絵や文字、内容はそれぞれ違うのだけれど「こどものともひろば」へ誘う、という部分は共通だ。ああ、こんな販促のカタチもあるのかとわくわくしながら手紙を読んだ。

さて、ムスメはこの体裁がとにかく気に入ったらしい。

折り紙を切り刻んでシールを貼っては「お手紙です」と配達をしてくれる。また、さっきもキティちゃんのすべりだいの上で何も書いていない真っ白い紙(自由画帳の一枚)を持ってなにやらぶつぶつ。

 くりぼうを ふまずに きてください
 ふむと びりびりって あぶないですよ


ぷぷぷ、思わず笑ってしまった。こどもの頭の中って本当に面白い。ここで言う「くりぼう」とは、スーパーマリオの“クリボー”のことで、最近覚えたキャラクターだ。あれ、でもクリボーは踏まないとやっつけられないんだけどなぁ。

そんなこんなで、しばらく愉快なおてがみごっこが続きそうである。


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