『夜のピクニック』

恩田陸さんの『夜のピクニック』を読む。

伝統ある地方の高校の「歩行祭」が舞台。「歩行祭」は全校生徒が80km(!)という道のりを夜通し歩く・・・という行事である。高校生たちの小さな心の動きを目で追いながら、この“青春”のただ中にいる登場人物たちを心からうらやましく思っていた。

不思議だったのは、登場人物の全員が「80km歩くという行事に参加している」という点で平等だったこと。ものすごく勉強ができる、とか、部活に命をかけている、とかそういう高校生活において突出したものは特に描かれていないのである。この先ずうっと心の中に残るであろう特別な日「歩行祭」の中で、少しずつゴールに近づくのと同じように、少しずつ全容が明らかになってくるのだ。読後のさわやかな感じは得難いものがあり、プラスの元気を与えてもらった。

私が通っていた高校にも「FS(ファイヤー・ストーム)」という行事があった。9月初旬(ちょうど今ごろ)、学園祭が終わった夜に大きな3つの火の櫓のまわりを走り回って、寮歌を歌いまくる・・・という一大イベントである。当時は、一生懸命FSに参加することがカッコ悪いような空気があったけれど、3年間参加してみて、やっぱり3年目には「FSがあってよかった」と思えたものだ。淋しさに似た少しの希望を含む切ない感情は、炎ごしに見た満月の美しさとともに私の心の中にある。

何だか、高校の同級生と、高校時代の話をしたくなった。
あの時何を思っていたのか、毎日何が楽しかったのか、
小さな悩みは何だったのか。

思い出のかけらをくれた『夜のピクニック』。“ムスメたちにも読んでほしい本リスト”の中に加えたいと思う。

夜のピクニック (新潮文庫)
夜のピクニック (新潮文庫)
恩田 陸

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コメント
ご無沙汰してます。
高校時代に戻りたくなるような小説ですよね。
私も、お気に入りのの一冊です。

だいぶ前に新聞で読んだのですが、この「歩行祭」は、どこの県だったか忘れましたが、本当にある行事だそうですよ。

ちなみに、うちの高校でも、これとよく似た行事で、「夜間ハイク」という、夕方から朝方まで歩く行事がありました。
1年生限定で、距離も半分の40kmでしたけど。
SYOHAKUどの、ご無沙汰しています。
書き込みありがとうございました。

「夜間ハイク」、いいですね〜。
1年生だけ、というのが気になりますが、
受験対策も関係あるのかな。
  • あすか
  • 2008/09/04 9:06 AM
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